詩、詰め合わせ -04 (2016年作品)

分離

「いかないで」
そう伸ばした手
もちろん何も掴めない

ただまっすぐ
あなたに伸ばしたはずの手を
空気が冷たく包む

こんなにも近くにいるのに
こんなにもすぐそばに
こんなにも

あなたは微笑む
それは何を意味してるの
私にはわからない

バイバイも
さよならも
何も言わずに
ただただ優しく微笑む

いっそ別れを告げて
あなたから

できないなら連れて行って
お願いだから

全て叶わないの
わかってるの
わかってるつもり
わかってたはずだった

心と体が分離してる
心も体も分離してる

何が本当の私で
どれが偽物のワタシ?

誰も
私ですら
わからない

拒絶して
手を取り合って
殴り合って
抱き合って
除け者にして

受け入れて

そうやって
自分の中の感情に
ひとつひとつケリつけて
生きてくのかもしれない


勘違い

泣いてしまったその時に
慰めてくれるその人に
私は甘えてしまうの

寄り添って、泣きついて
今だけ恋人の代わりになってって
そういうふうに無言で語るの

本気であなたを好きじゃないの
あなたに本気にはなれないの
「ごめんなさい」ってそう心で呟く

勘違いさせてしまうかもしれない
だって勘違いさせようとしてるから
今は今だけは、私の恋人になって

そうやって甘えるのはずるいって
私だって知ってるの
でもさ、仕方ないじゃない
私だって女なの
わがままだけど、許して欲しい

どう思われても構わない
今だけ恋人だと勘違いして
散々甘やかして

飢餓感

愛してください
私に愛を
あなたが渡せる
目一杯の愛を

食べ物にも
服にも
困っているわけではないの

なのに
飢餓感
いつまでも消えてくれない
この飢餓感

最近ようやくわかったの
ワタシ愛に飢えてるの

たったひとりの愛だけじゃ
お腹が満たされないの
全然タリナイの

だからあなたもワタシに
愛を頂戴?


どんなにたくさんの人から
どんなにたくさんの愛をもらっても
いつまでも満たされないのは

それは自分が貪欲なんじゃなくて
別の理由があるってわかってるはずデショ?

愛が欲しいんじゃなくて
愛されたいんじゃなくて
愛で満たして欲しいんじゃなくて

私が
私自身が
愛したいんでしょ?
誰かを愛したいんでしょ?

誰かに夢中になって
周りが見えなくなるくらい
その誰かを愛して

愛おしい誰かへの愛で
自分を満たしたいんでしょ?

愛されていることに飢えてるんじゃない
愛すことに飢えてるの

満たされないのは
注ぐ器が手元にないから

消えてくれないこの飢餓感は
きっといつの間にか消えてしまうのだろうけど
それが何時かなんて
今の私じゃわからない


「女は秘密をもって女になる」
そう聞いたことがある
それじゃあ、男は違うの?
なんてね

女も男も関係なく
嘘をつきあう

息をするのと同じように
嘘をついては
互いに自分をさらけ出したフリをして
互いに相手を知った気になる

なんで嘘なんかつくの
そう言われれば
「大切だから」と
また嘘をつく

私はあなたがついた嘘を
まるで本当のように飲み込むの
結局消化しきれなかったとしても
また、本当の事として飲み込むの

嘘だらけの息苦しい関係に
私はどっぷりとのめり込むの